失語症では、「言葉が出てこない」という症状だけでなく、聞いたり読んだりした言葉の意味を理解することが難しくなる場合があります。
今回紹介する『失語症リハビリテーション実践ガイド 教材編1 名詞理解訓練課題』は、名詞の理解を中心に練習する教材です。
実際に内容を確認してみると、絵と文字を対応させる課題やカテゴリーを判断する課題など、比較的基礎的な内容から取り組める構成になっていました。
特に、言葉の理解に大きな難しさがあり、名詞理解の練習から始めたい方に使いやすそうな一冊です。
『教材編1 名詞理解訓練課題』の内容
この教材には、絵と文字を対応させたり、文字を読んで適切な絵を選んだりする課題が収録されています。
主な課題は、
・言葉と絵の線つなぎ+模写
・文字に合う絵を選ぶ課題
・ひらがなの文字列から名詞を見つける課題
・文字と絵のマッチング課題
・カテゴリーに当てはまる絵を選ぶ課題
です。
言葉と絵を線で結んで模写する課題
言葉と絵を対応させて線で結び、その後に文字を模写する課題があります。
絵と文字の対応を確認するだけでなく、文字を書く練習まで続けて行える構成です。
提示される文字には、
・漢字と仮名の両方が書かれているもの
・漢字のみのもの
・ひらがな、またはカタカナのみのもの
があります。
漢字のみ、ひらがな・カタカナのみで提示される課題では、一般的にその表記が使われる名詞が選ばれている印象です。
同じような形式の課題でも、文字の提示方法を変えながら取り組めるようになっています。
6択から絵を選ぶ課題
提示された言葉に対応する絵を6つの選択肢から選ぶ課題があります。
選択肢があるため、自由回答形式の課題が難しい方でも取り組みやすい形式です。
名詞を読んだり聞いたりしたときに、その言葉が何を意味しているのかを確認する練習として使えそうです。
ひらがなの文字列から名詞を見つける課題
ひらがなが連続して並んでいる文字列を見て、好きなところで区切りながら名詞を見つける課題もあります。
見つけた名詞は、その後に模写します。
単純に提示された単語を読むだけではなく、連続した文字の中から意味のある言葉を見つける必要があります。
絵と文字を対応させる課題とは違った形で、文字と単語の理解に取り組める内容です。
文字と一致する絵を3択から選ぶ課題
提示された文字を読み、それに対応する絵を3つの中から選んで丸をつける課題です。
6択の課題と比べると選択肢が少ないため、より選びやすい形式になっています。
選択肢の数によっても課題の難しさは変わるため、取り組む方の状態に合わせながら使用できそうです。
カテゴリーに当てはまる絵を選ぶ課題
カテゴリーを理解する課題も収録されています。
6つ程度の絵が提示され、その中から指定されたカテゴリーに当てはまるものを選びます。
提示された絵の中には、カテゴリーに当てはまらないものが1〜2個程度含まれています。
例えば、個々の名詞の意味を理解するだけでなく、「これらは同じ仲間なのか」という意味的なつながりを考える必要があります。
単語と絵を一対一で対応させる課題とは少し異なり、言葉を意味のまとまりとして捉える練習にもなります。
名詞理解が難しい方にも取り組みやすい
実際に内容を確認して、この教材は名詞の理解に大きな難しさがある方にも比較的取り組みやすい内容だと感じました。
自由に言葉を思い出して答える課題よりも、絵や文字、選択肢などの手がかりを使って答える課題が中心です。
そのため、重度失語症の場合でも、名詞理解の状態に合わせて取り組める課題があると感じました。
また、認知機能の低下によって意味理解が難しい方にも適していると感じました。
名詞理解において様々な課題形式が収録されているので、実際に取り組む際には、どの形式なら答えやすいのかを確認しながら課題を選ぶとよいと思います。
約100ページで名詞理解の課題が充実
本書は約100ページあり、名詞理解を中心とした課題にまとまった量で取り組めます。
同じ名詞理解でも、単純に絵を選ぶだけではなく、線つなぎ、模写、文字列からの名詞探し、カテゴリー判断など、複数の形式が用意されています。
ひとつの形式だけを繰り返すのではなく、課題の形を変えながら名詞理解の練習を続けられるところは、この教材の特徴だと思います。
『教材編1 名詞理解訓練課題』はこんな方に向いていそう
実際に内容を確認して、特に向いていると感じたのは、
・名詞の理解に難しさがある方
・自由回答よりも選択形式の課題から取り組みたい方
・絵と文字の対応から練習したい方
・名詞をカテゴリーごとに整理する課題にも取り組みたい方
・基礎的な名詞理解課題をまとまった量で行いたい方
です。
特に、言葉の理解が難しい重度の失語症の方が、比較的基礎的なところから取り組む教材の選択肢になりそうです。
一方で、名詞理解が十分に保たれていて、呼称や文章作成など、より表出面の練習をしたい方には簡単に感じる可能性があります。
実際に見て感じたこと
『失語症リハビリテーション実践ガイド 教材編1 名詞理解訓練課題』を実際に確認して感じたのは、名詞理解をかなり基礎的な段階から練習できる教材だということです。
絵と文字を線で結ぶ、文字に合う絵を選ぶといった比較的取り組みやすい課題から、文字列の中から名詞を探したり、カテゴリーを判断したりする課題まで収録されています。
また、選択肢が3つの課題や6つの課題など、課題形式にも違いがあります。
失語症では「言葉が出ない」という表出面が目立ちやすいですが、言葉そのものの理解が難しくなっている方もいます。
そうした方が、名詞の意味と絵・文字を結びつけるところから練習したい場合に使いやすい一冊だと感じました。
シリーズには名詞表出を扱う教材編2・3や、文章の中で適切な名詞を考える教材編4・5もあります。
まず名詞理解から取り組みたい場合には教材編1、その次の段階として名詞表出にも取り組みたい場合には、シリーズの別教材へ進むという使い方もできそうです。


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