失語症とは、脳卒中や頭部外傷などによって脳の言語を担う部分が損傷し、「聞く・話す・読む・書く・計算する」といった言葉に関わる働きが難しくなる状態です。
「言いたいことはあるのに言葉が出てこない」
「相手が話している言葉が分かりにくい」
「文字を読んでも意味が分からない」
「病前は書けていた文字が書けない」
など、さまざまな症状がみられます。
失語症の症状や程度には個人差があり、「話すことだけが難しい」というわけではありません。
この記事では、失語症とはどのような状態なのか、主な症状や原因、リハビリについて分かりやすく紹介します。
失語症とは?
失語症は、脳の言語を担う部分が損傷することで起こる言語機能の障害です。
それまで普通に言葉を使って生活していた方が、脳卒中などをきっかけに、言葉を理解したり表現したりすることが難しくなります。
失語症では、主に次の5つの側面に症状が現れます。
- 聞いて理解する
- 話す
- 読んで理解する
- 文字を書く
- 計算する
どの症状がどの程度現れるかは人によって異なります。
話すことが難しくても、相手の話は比較的よく理解できる方もいれば、流暢に話しているように見えても、言葉の理解に大きな困難がある方もいます。
失語症の主な症状
話すことの難しさ
失語症では、頭の中に言いたいことがあっても、適切な言葉が出てこないことがあります。
たとえば「時計」と言いたいのに名前が思い出せなかったり、別の言葉を言ってしまったりすることがあります。
言葉が出にくい症状は喚語困難、別の言葉や音に言い誤る症状は錯語などと呼ばれます。
また、単語は言えても、複数の言葉をつなげて文章として話すことが難しい場合もあります。
聞いて理解することの難しさ
耳は聞こえていても、聞いた言葉の意味を理解することが難しくなる場合があります。
短い言葉や簡単な会話は理解できても、文章が長くなったり、複雑な内容になったりすると分かりにくくなる方もいます。
そのため、失語症の方と話すときには、短く分かりやすい言葉で伝えたり、必要に応じて文字や絵、ジェスチャーなどを併用したりすることがあります。
読むことの難しさ
失語症では、文字を読むことにも影響が出ることがあります。
ひらがなや漢字を見ても読み方が分からなかったり、声に出して読むことはできても文章の意味を理解することが難しかったりします。
単語は理解できても、長い文章になると理解が難しくなる場合もあります。
書くことの難しさ
以前は問題なく書けていた方でも、失語症になると文字を書くことが難しくなる場合があります。
書きたい言葉が思い出せない、漢字が思い出せない、別の文字を書いてしまうなど、症状はさまざまです。
名前を聞いて書くことと、絵を見て名前を書くことでも難しさが異なる場合があります。
失語症の原因
失語症の原因として多いのが脳卒中です。
脳梗塞や脳出血などによって、脳の言語を担う部分が損傷することで失語症が起こります。
そのほか、頭部外傷や脳腫瘍などが原因となることもあります。
損傷した脳の部位や範囲によって、現れる症状や重症度は異なります。
失語症と高次脳機能障害の違いは?
失語症と高次脳機能障害は、まったく別のものというわけではありません。
失語症は、高次脳機能障害の一つとして位置づけられます。
高次脳機能とは、言葉を使う、記憶する、注意を向ける、物事を考え判断する、行動を計画するといった、人が生活するうえで必要となるさまざまな脳の働きを指します。
脳卒中や頭部外傷などによってこれらの機能が障害されると、失語症のほかにも、
- 新しいことを覚えにくい
- 集中が続きにくい
- 段取りを立てて行動することが難しい
- 見えているものの一部を見落とす
- 道具の使い方や動作の手順が分からなくなる
など、さまざまな症状が現れることがあります。
また、失語症だけでなく、注意障害や記憶障害など、複数の症状が同時にみられることもあります。
そのため、失語症の方へのリハビリや日常生活の支援では、言葉の症状だけでなく、ほかの高次脳機能についても確認することが大切です。
失語症と認知症は同じ?
失語症と認知症は同じものではありません。
失語症は言語機能の障害であるのに対し、認知症では記憶、注意、判断、言語など、さまざまな認知機能に影響が現れることがあります。
また、「言葉が出てこない」という一つの症状だけを見て、失語症なのか認知症なのかを判断することはできません。
詳しくは「失語症と認知症の違い」の記事でも紹介しています。
失語症のリハビリでは何をする?
失語症のリハビリは、主に**言語聴覚士(ST)**が行います。
まず、話す・聞く・読む・書くなどの言語機能を評価し、どのようなことが得意で、どのようなことが難しいのかを確認します。
そのうえで、その方の症状や生活に合わせた練習を行います。
たとえば、
- 絵を見て名前を言う
- 言葉を聞いて絵を選ぶ
- 文字と絵を結びつける
- 文字を書く
- 文を読んで内容を理解する
- 会話の練習をする
などがあります。
同じ「失語症」という診断であっても、必要な練習は一人ひとり異なります。
自宅でできる練習もあります
失語症のリハビリは、病院や施設だけで行うものではありません。
体調や症状に合わせて、自宅で言葉に触れる機会を作ることもできます。
当サイトでは、
話す・読んで理解する・文字を書く
など、目的別に使える失語症の練習プリントを無料で公開しています。
答え付きで、簡単な課題から取り組める教材も用意していますので、その方に合ったものから無理のない範囲でご活用ください。
症状について心配なことがある場合には、医師や言語聴覚士などの専門職にご相談ください。

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