失語症と認知症の違いは?症状や経過の違いを言語聴覚士が解説

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 「最近、言葉が出てこなくなった」

 「話していることが伝わりにくくなった」

 このような変化があると、「失語症なの?」「認知症なの?」と心配になる方もいるかもしれません。

 失語症と認知症では、障害される機能や症状の経過などに違いがあります。

 一方で、どちらにも「言葉が出にくい」「話が理解しにくい」など似た症状がみられることがあり、一部分だけを見て判断することはできません。

 この記事では、失語症と認知症にはどのような違いがあるのか、言語聴覚士の視点からできるだけわかりやすく紹介します。

失語症とは

 失語症とは、脳卒中などによって脳が後天的に損傷し、それまでできていた「ことばを使う」ことが難しくなる状態です。

 「うまく話せない」というイメージを持たれることも多いですが、失語症では話すことだけでなく、**「聴く」「話す」「読む」「書く」「計算する」**といった機能全般に障害が起こります。

 たとえば、

・言いたい言葉が出てこない
・相手の話していることが分かりにくい
・文字を読んでも意味が分かりにくい
・書きたい文字が思い出せない
・数字の理解や計算が難しい

など、さまざまな症状がみられます。

 また、同じ失語症であっても、どの症状が強く現れるのか、どの程度難しいのかは一人ひとり異なります。

認知症とは

 認知症では、言語機能を含むさまざまな認知機能に障害がみられ、それによって日常生活に支障が生じます。

 認知機能には、たとえば、

・記憶する
・注意を向ける
・考えたり判断したりする
・言葉を使う
・感情や行動をコントロールする

など、さまざまな機能があります。

 そのため、認知症というと「物忘れ」のイメージが強いかもしれませんが、記憶だけに症状が現れるわけではありません。

 認知症の原因となる疾患やその方の状態によって、現れる症状も異なります。

失語症と認知症では症状の経過にも違いがある

 失語症と認知症の違いを考えるうえでは、症状がどのように現れ、どのように経過してきたのかも重要です。

 脳卒中や脳外傷などによって生じた失語症をはじめとする高次脳機能障害では、一般的に発症・受傷した時期に症状が強く、その後、治療やリハビリテーションを受けながら徐々に回復していくことがあります。

 一方、認知症は原因となる疾患によって経過は異なりますが、徐々に症状が進行していくものが多くみられます。

 ただし、常に一定の速さで悪くなっていくわけではありません。その日の体調や環境などによって状態が変わり、良いときと悪いときがみられることもあります。

 認知症に対しても、その方の状態に応じて運動や認知機能への働きかけ、日常生活の活動などを取り入れたリハビリテーションが行われます。

 現在できていることをできるだけ維持し、その方らしい生活を続けられるように支援していくことも大切です。

失語症と認知症が合併することもある

 失語症と認知症は、「どちらか一方しか起こらない」というものではありません。

 失語症と認知症が合併することもあります。

 たとえば、もともと認知症がある方が脳卒中を発症し、その影響によって新たに失語症が加わることもあります。

 また、失語症と認知症には、

「言葉がなかなか出てこない」

「相手の話していることが理解しにくい」

など、似て見える症状もあります。

 そのため、「言葉が出てこないから失語症」「物忘れがあるから認知症」というように、一つの症状だけを切り取って判断することは難しいものです。

 症状がいつから現れたのか、どのように変化してきたのか、言葉以外の認知機能や日常生活にどのような変化があるのかなど、さまざまな情報を総合して考える必要があります。

 気になる症状がある場合には、自己判断せず、医療機関などの専門家に相談しましょう。

失語症も認知症も症状は一人ひとり違う

 失語症にも認知症にもさまざまなタイプがあり、症状の現れ方は一人ひとり異なります。

 同じ失語症、同じ認知症という診断であっても、「できること」と「難しいこと」は同じではありません。

 そのため、「失語症ならこの方法」「認知症ならこの訓練」というように、一律に決めることはできません。

 専門家は、その方がどのようなことを得意としているのか、どのようなところに難しさがあるのかなどを評価し、その結果をもとに訓練や支援方法を考えていきます。

まとめ

 失語症と認知症は、どちらも言葉に関する症状が現れることがありますが、同じものではありません。

 失語症では、脳の後天的な損傷によって、「聴く」「話す」「読む」「書く」「計算する」といった機能に障害が生じます。

 一方、認知症では、言語だけでなく、記憶や注意、判断などを含むさまざまな認知機能に影響が現れます。

 また、一般的な症状の経過にも違いがありますが、失語症と認知症が合併する場合もあり、一つの症状だけから判断することはできません。

 そして、失語症でも認知症でも、その方によって得意なことや難しいことは異なります。

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