『失語症訓練のためのドリル集6』レビュー|長い文の読解・理解を練習

教材レビュー

 失語症では、単語や短い文章は理解できても、文章が長くなると内容を理解することが難しくなる場合があります。

 『失語症訓練のためのドリル集6 長い文の理解の改善をめざす』は、短い文章から徐々に文章量を増やしながら、読解・理解を練習できる教材です。

 実際に内容を確認すると、約20文字の短い文章から始まり、最も長いものでも約120文字程度でした。

 そのため、新聞記事など長文を読む教材というより、短文の理解から少しずつ文章量を増やしていくための教材と考えると内容をイメージしやすいと思います。

『失語症訓練のためのドリル集6』はどんな教材?

 6巻のテーマは「長い文の理解」です。

 最初は約20文字の文章を読み、内容が正しいかどうかを判断する比較的取り組みやすい課題から始まります。

 そこから、文章を読んで質問に答える形式になり、約40文字、50〜100文字、最終的には約120文字へと文章量が増えていきます。

 一気に長文を読ませるのではなく、文章の長さを段階的に増やしていく構成が特徴です。

収録されている主な課題

 実際に確認すると、主に次のような課題が収録されていました。

・約20文字の文章を読み、内容について「はい・いいえ」で答える
・約20文字の文章を読み、質問に答える
・約40文字の文章を読み、質問に答える
・約50〜100文字の文章を読み、質問に答える
・約120文字の文章を読み、質問に答える

 基本的には、文章を読んで内容を理解し、その内容について答える読解課題です。

 文章量が少しずつ増えていくため、その方の読解能力に合わせて課題を選択できます。

難易度は重度〜軽度まで

 6巻は重度〜軽度の失語症の方を対象としており、重症度に応じて使用する課題を選択します。

 約20文字の文章を読んで「はい・いいえ」で答える課題と、100文字を超える文章を読んで質問に答える課題では必要となる能力が大きく異なります。

 そのため、重症度だけで一律に使用するのではなく、現在どの程度の長さの文章を理解できるのかを確認しながら課題を選ぶ必要があります。

 短い文章の理解が可能になり、少しずつ長い文章の理解へステップアップしたい場合に使いやすい教材です。

約20文字から120文字まで段階的に練習できる

 6巻の良いところは、文章量が段階的に増えていくことです。

 「短文は読めるから、次は長文」と急に難易度を上げるのではなく、

約20文字

約40文字

約50〜100文字

約120文字

というように、徐々に文章を長くすることができます。

 文章が長くなると、一つひとつの単語や文を理解するだけでなく、前に書かれていた内容を保持しながら読み進める必要もあります。

 どの程度の文章量になると理解が難しくなるのかを確認しながら、段階的に練習できる点は使いやすいと思います。

「長い文」といっても最長約120文字

 購入前に確認しておきたいのが、最も長い文章でも約120文字程度という点です。

 タイトルが『長い文の理解の改善をめざす』なので、新聞記事や長めの読み物を想像する方もいるかもしれません。

 しかし、実際には数百文字に及ぶような長文読解が中心の教材ではありません。

 短文理解から始めて、100文字前後の文章まで段階的に練習する教材です。

 そのため、

「短文は理解できるようになったので、もう少し長い文章へ進みたい」

という方には使いやすい一方、

「新聞記事や数百文字の文章を読んで内容を理解する練習がしたい」

という方には、物足りなく感じる可能性があります。

シリーズの中では問題量が少なめ

 6巻は92ページで、今回確認したシリーズ1〜9巻の中では最も薄い一冊でした。

 また、それぞれの文章量・難易度ごとの問題数も、それほど多くありません。

 文章の長さを段階的に上げられることはメリットですが、「同じレベルの読解問題をたくさん解きたい」という目的では、問題数が少なく感じる可能性があります。

 購入する際には、文章の長さだけでなく問題量についても確認しておきたい一冊です。

もっと長い文章を練習したい場合は?

 100文字前後の文章が問題なく理解でき、さらに長い文章へ進みたい場合には、必ずしも失語症専用の教材だけに限定する必要はないと思います。

 その方の言語能力や興味に合えば、一般向けの国語の読解ドリルなどを訓練教材として活用する方法もあります。

 ただし、一般向け教材は失語症の方を対象として作られているわけではないため、文章の難易度や文字の大きさ、問題形式などを確認し、本人に合ったものを選ぶ必要があります。

 6巻を終えた後の、さらに長い文章を読む練習へのステップアップとして検討するのも一つの方法です。

無料プリントでも練習できる?

 短い文章を読んで質問に答える読解課題は、無料プリントでも練習することができます。

 一方、6巻では約20文字から約120文字まで、文章量を段階的に増やせるように構成されています。

 そのため、単発の読解問題を解くだけではなく、文章の長さを少しずつ増やしながら練習したい場合には、市販教材を利用するメリットがあります。

 ただし、全体のページ数や各段階の問題数は多くないため、「読解問題をとにかくたくさん解きたい」という方は、無料教材やほかの読解教材と組み合わせてもよいと思います。

課題の使い方まで説明されている

 このシリーズでは、それぞれの課題について、

・どのような方に適しているか
・課題の進め方
・ヒントの出し方
・実施上の留意点
・応用した訓練方法

などが説明されています。

 そのため、単に文章と問題が掲載されているだけでなく、失語症の訓練としてどのように利用するのかを確認できます。

 なお、このシリーズには解答が付いていません。

こんな方におすすめ

 『失語症訓練のためのドリル集6』は、

・単語や短い文章は理解できるようになってきた
・文章が長くなると理解が難しくなる
・短文から少しずつ文章量を増やしたい
・読んだ文章について質問に答える練習をしたい
・現在どの程度の長さまで理解できるのか確認しながら練習したい

といった方におすすめです。

 一方、すでに100文字程度の文章を問題なく理解でき、新聞記事などの長文読解を練習したい方には、ほかの教材もあわせて検討したほうがよいと思います。

まとめ

 『失語症訓練のためのドリル集6』は、約20文字の短い文章から始め、最終的に約120文字の文章まで段階的に読解を練習できる教材です。

 重度〜軽度まで幅広く対象とされていますが、その方の読解能力に応じて課題を選択して使用します。

 短い文章から徐々に文章量を増やせる点はメリットですが、「長い文」といっても最長約120文字であること、92ページとシリーズの中では薄く、問題量も比較的少ないことは購入前に知っておきたいポイントです。

 短文理解から100文字前後の文章へステップアップしたい方には使いやすい一方、さらに長い文章を読みたい方は、一般向けの読解教材なども含めて検討するとよいと思います。

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