『失語症訓練のためのドリル集7』レビュー|文作成と難しい語句を練習

教材レビュー

 単語や短い文章を表出できるようになってくると、次に「もっと長い文章を作りたい」「複数の情報を一つの文章にまとめたい」といった練習へ進むことがあります。

 『失語症訓練のためのドリル集7 文作成と難しい語句の改善をめざす』は、与えられた単語を使った文作成から、文章を長くする課題、関係節を含む文の作成など、より複雑な文章表現を練習できる教材です。

 また、タイトルには「文作成」とありますが、実際に確認すると全体のおよそ1/3は語想起に関する課題でした。

 そのため、文章作成だけでなく、語想起もあわせて練習したい方に向いています。

『失語症訓練のためのドリル集7』はどんな教材?

 7巻の大きなテーマは「文作成」と「難しい語句」です。

 名詞・動詞・形容詞など、指定された単語を使って文章を作るところから始まり、複数の単語を使った文作成、文章への句の追加、2つの文章を1つにまとめる課題などへ発展していきます。

 さらに、関係節を含む文章を作ったり、反対に関係節を含む文章を2つに分けたりする課題もあります。

 そのため、単に「文章を書く」だけでなく、文を長くしたり、複数の情報を一つにまとめたりする練習ができるのが特徴です。

収録されている主な課題

 実際に確認すると、次のような課題が収録されていました。

・指定された単語(名詞・動詞・形容詞)を使って文を作る
・複数の指定された単語を使って文を作る
・指定された名詞句を強調するように文章を書き換える
・指定された構文に合う名詞を入れる
・句を追加して文章を長くする
・2つの文章を1つの長い文章にまとめる
・関係節を含む文章を2つの文章に分ける
・2つの文章を関係節を含む1つの文章にまとめる
・慣用的な表現を使って文章を完成させる
・書き出しとして提示された表現に続けて文章を作る
・意味的な関係を利用して語を想起する

 文作成だけでなく、語想起課題もまとまって収録されています。

難易度は中等度〜軽度が中心

 7巻は中等度〜軽度の失語症の方を中心に使いやすい教材です。

 中等度より重い方でも取り組める課題はありますが、実際に確認すると、そうした課題は全体の1/4未満でした。

 多くの課題では、自分で単語を想起したり、それを使って文章を作ったりする必要があります。

 そのため、単語の表出がある程度可能で、短い文章を作れるようになってきた方が、さらに長く複雑な文章表現へ進むための教材と考えると分かりやすいと思います。

文を「長くする・まとめる」課題が特徴

 7巻の中でも特に特徴的なのが、すでにある文章をさらに発展させる課題です。

 たとえば、文章に句を加えて長くしたり、2つの文章を1つにまとめたりします。

 さらに、関係節を含む文章を作る課題もあります。

 単純に一文を作って終わるのではなく、

短い文を作る
→ 情報を追加する
→ 複数の情報をまとめる
→ より複雑な構造の文を作る

という練習へ進むことができます。

 「単語や短い文は出るけれど、発話が短くなりやすい」「もう少し詳しく説明することが難しい」といった場合にも検討しやすい内容です。

5巻との違いは?

 5巻と7巻はいずれも文章を扱うため、どちらを選べばよいのか迷うかもしれません。

 『失語症訓練のためのドリル集5 文構成の改善をめざす』は、格助詞をはじめ、時制、授受表現、能動・受動、使役など、助詞や文法、文の構造を練習する課題が中心です。(詳しいレビューはこちら

 一方、7巻では、指定された単語から文章を作ったり、文章を長くしたり、2つの文章をまとめたりするなど、実際に文章を作成・展開することに重点が置かれています。

 大まかに分けると、

5巻:助詞・文法・文型など「文の組み立て方」を練習する

7巻:自分で文を作り、より長く複雑な文章へ発展させる

という違いがあります。

 助詞や文法の誤りが目立つ場合には5巻、文法面よりも「文章を自分で作る」「もっと長く表現する」ことを練習したい場合には7巻が選択肢になります。

約1/3は語想起課題

 購入前に知っておきたいのが、7巻の約1/3は語想起に関する課題という点です。

 タイトルから「ほとんどが文作成の問題」と想像すると、少し印象が違うかもしれません。

 語想起課題には、意味的な関係から言葉を想起するものなどがあり、名詞の反対語を考える課題も含まれています。

 そのため、

「文作成だけを大量に練習したい」

という方には、問題量が想像より少なく感じる可能性があります。

 一方で、文章を作るためには必要な単語を想起する力も必要になるため、語彙と文作成をあわせて練習したい方には使いやすい構成です。

無料プリントでも練習できる?

 語想起や反対語など、一部の課題については無料プリントでも練習できます。

 当サイトでも、語想起などの無料プリントを公開しています。

 一方、

・2つの文章を1つにまとめる
・文章に情報を追加して長くする
・関係節を含む文章を作る
・関係節を含む文章を分解する

といった課題は、無料プリントでは比較的見つけにくい内容です。

 そのため、語想起課題だけを目的に購入する場合には無料教材で補える部分もありますが、より複雑な文作成を段階的に練習したい場合には、市販教材を利用するメリットを感じやすいと思います。

課題の使い方まで説明されている

 このシリーズでは、それぞれの課題について、

・どのような方に適しているか
・課題の進め方
・ヒントの出し方
・実施上の留意点
・応用した訓練方法

などが説明されています。

 そのため、問題だけでなく、どのように訓練として活用するのかも確認できます。

 なお、このシリーズには解答が付いていません。

こんな方におすすめ

 『失語症訓練のためのドリル集7』は、

・単語や短い文章はある程度表出できる
・自分で文章を作る練習をしたい
・短い文章をさらに長くする練習をしたい
・複数の情報を一つの文章にまとめることが難しい
・より複雑な文章表現を練習したい
・文作成とあわせて語想起も練習したい

といった方におすすめです。

 特に、2語文などの短い文章から、より長く複雑な文章表現へステップアップしたい方に検討しやすい教材です。

まとめ

 『失語症訓練のためのドリル集7』は、指定された単語を使った文作成から、文章の長文化、2文の統合、関係節を含む文章の作成などへ発展していく教材です。

 5巻が助詞や文法、文構造を中心としているのに対して、7巻では実際に文章を作り、それをより長く複雑にしていくことが中心となります。

 一方、全体のおよそ1/3は語想起課題となっているため、「文作成問題だけをたくさん解きたい」という場合には購入前に確認しておきたいポイントです。

 語想起や反対語については無料プリントで補えるものもありますが、関係節や2文の統合などは無料教材では比較的見つけにくい課題です。

 単語や短い文章の表出から、より豊かで複雑な文章表現へ進みたい方には、購入するメリットを感じやすい一冊だと思います。

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失語症訓練のためのドリル集5 文構成の改善を目指す

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