失語症の訓練では、漢字の読み書きを課題として取り入れることがあります。
市販の漢字ドリルはたくさんありますが、実際に失語症の方に使おうとすると「簡単すぎる」「難しすぎる」など、ちょうど良い教材を見つけるのが難しいこともあります。
今回は『川島隆太教授の脳トレ漢字ドリル』の内容を実際に確認し、失語症の訓練教材として活用できそうか、言語聴覚士の視点からチェックしてみました。
漢字に関する課題が豊富でボリュームもありますが、失語症の方に使用する場合には、やや難易度が高いと感じました。
『川島隆太教授の脳トレ漢字ドリル』の内容
このドリルは、かなを漢字に直す課題や、漢字の読みを書く課題を中心に構成されています。
さらに、4日ごとに通常の読み書きとは少し違った漢字クイズが登場します。
例えば、
・同音異義語
・反対語
など、単純に漢字を読み書きするだけではなく、言葉の意味を考えながら答える課題も収録されています。
毎日同じ形式の問題を繰り返すのではなく、ときどき違った種類の問題に取り組める構成になっています。
375ページとボリュームがある
このドリルの特徴の一つが、375ページというボリュームです。
漢字の読み書きを継続して練習したい場合には、たっぷり取り組めるのがメリットです。
一冊購入すればかなりの量の課題に取り組めるため、自宅で継続的に漢字の練習をしたい方にも使いやすそうです。
また、言語聴覚士が訓練教材として使用する場合には、課題の選択肢を増やすことができます。
失語症の訓練としては難しい課題も
一方で、失語症の訓練教材として考えた場合、難易度には注意が必要だと感じました。
漢字の読み書きに比較的使用頻度の低い語が多いことに加え、同音異義語や反対語・四文字熟語など、語彙や意味の知識も必要になる課題が含まれています。
そのため、失語症が軽度の方であっても、問題によっては難しく感じる可能性があります。
「漢字を書くことができるか」だけではなく、問題文を理解したり、適切な言葉を思い出したりする力も必要になるためです。
失語症の方に使用する場合は、最初から順番に取り組むというよりも、言語聴覚士がその方に合った課題を選んで使用する方が取り入れやすいと思います。
『脳を鍛える大人の国語ドリル』と比べると?
同じ川島隆太教授のドリルには、『脳を鍛える大人の国語ドリル』もあります。
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こちらにも漢字の書き取り課題がありますが、実際に見比べてみると、『大人の国語ドリル』の漢字課題の方がやさしく感じました。
そのため、失語症の方の漢字書字訓練として取り入れるのであれば、個人的には『大人の国語ドリル』の方が使いやすい印象です。
一方、『脳トレ漢字ドリル』は問題数が多く、同音異義語や反対語なども含まれているため、ある程度難しい漢字・語彙課題にも取り組みたい方には選択肢になると思います。
こんな方に使いやすそう
『川島隆太教授の脳トレ漢字ドリル』は、
・漢字の読み書きをたくさん練習したい方
・比較的難しい漢字課題にも取り組める方
・同音異義語や反対語などの様々な漢字課題にも挑戦したい方
・自宅で継続して取り組めるボリュームのあるドリルを探している方
などに向いていると思います。
失語症の訓練で使用する場合は、症状や重症度に合わせて課題を選ぶ必要があります。
まとめ
『川島隆太教授の脳トレ漢字ドリル』は、漢字の読み書きを中心に、同音異義語や反対語などの問題にも取り組めるボリュームのあるドリルです。
375ページあるため、漢字をたくさん練習したい方にとっては、一冊で長く取り組めるのが魅力です。
一方、失語症の訓練教材として見ると、軽度の方でも難しく感じそうな課題が含まれていました。
そのため、「失語症の方に幅広くおすすめできる漢字教材」というより、比較的軽度で、ある程度難しい漢字や語彙の課題にも取り組める方に向いていると思います。
もう少しやさしい漢字課題から始めたい場合は、『脳を鍛える大人の国語ドリル』も選択肢の一つです。
対象となる方の言語機能に合わせて、使い分けるのが良いでしょう。
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