『川島隆太教授の健康パズル おもしろ!脳活パズル クロスワード編120日』は失語症の訓練に使える?言語聴覚士が内容をチェック

教材レビュー

 失語症の訓練では、言葉を思い出す「語想起」の課題を行うことがあります。

 クロスワードパズルの中にも、ヒントから言葉を思い出すものがあり、工夫次第では失語症の訓練に活用できるものがあります。

 今回は『川島隆太教授の健康パズル おもしろ!脳活パズル クロスワード編120日』の内容を実際に確認し、失語症や認知機能の訓練教材として使えそうか、言語聴覚士の視点からチェックしてみました。

 結論からいうと、失語症の訓練に使えそうな課題はいくつかありました。

 一方で、本全体が失語症向けに作られているわけではないため、「失語症の訓練教材として一冊購入するか?」と考えると、個人的には少し迷うところです。

イラストをヒントにするクロスワード

 失語症の訓練に使いやすそうだと感じた一つが「イラストヒントクロス」です。

 イラストを見て、そこから言葉を思い出し、クロスワードを埋めていきます。

 文字だけで書かれたヒントから答えを考える一般的なクロスワードとは異なり、イラストが言葉を思い出すための手がかりになります。

 そのため、課題を選べば中等度〜軽度の失語症の方の語想起訓練にも活用できそうだと感じました。

 クロスワード形式なので、通常の呼称課題とは少し違った形で言葉を思い出す練習ができるのも良いところです。

意味から言葉を思い出す「思い出しクロスワード」

 もう一つ、失語症の訓練に活用できそうなのが「思い出しクロスワード」です。

 こちらは言葉の意味や説明をヒントにして、当てはまる言葉を思い出す、一般的なクロスワードです。

 そのため、意味から単語を想起する練習として使えそうです。

 イラストヒントクロスと思い出しクロスワードでは、言葉を思い出すための手がかりが異なるため、対象となる方に合わせて使い分けることもできそうです。

シークワーズは注意訓練にも

 この本にはクロスワード以外に「シークワーズ」も収録されています。

 シークワーズは、たくさん並んだ文字の中から指定された単語を探す課題です。

 多くの文字の中から目的の文字列を探していく必要があるため、言語訓練だけでなく、注意機能や視覚探索の訓練としても活用できそうだと感じました。

 失語症だけではなく、認知機能へのアプローチも行いたい場合には選択肢になると思います。

失語症に使えそうな課題は全体の一部

 イラストヒントクロスや思い出しクロスワードなど、失語症の訓練に取り入れてみたいと思う課題はありました。

 ただ、実際に一冊を通して確認したところ、失語症の言語訓練に使いやすそうだと感じた課題は、私の感覚では全体の3分の1程度でした。

 もちろん、どの課題を「使える」と考えるかは対象となる方や訓練目的によって変わります。

 認知機能訓練まで含めれば活用できる範囲は広がりますが、失語症の言語訓練だけを目的に購入すると、使用しないページも多くなるかもしれません。

私なら失語症教材として購入する?

 個人的には、失語症の訓練教材だけを目的に購入するかと聞かれると、少し迷います。

 イラストからの語想起、意味からの語想起など、内容として面白い課題はあります。

 一方で、一冊の中で失語症に使いやすそうな課題の割合を考えると、「これ一冊あれば語想起訓練に困らない」というタイプの教材ではありません。

 すでにさまざまな教材があり、訓練のバリエーションを増やしたい職場であれば、選択肢の一つとして加えるのは良さそうです。

 また、失語症だけでなく注意機能や認知機能なども含めて幅広く課題を行いたい場合には、活用できる場面が増えると思います。

まとめ

 『川島隆太教授の健康パズル おもしろ!脳活パズル クロスワード編120日』には、イラストを手がかりに言葉を思い出す「イラストヒントクロス」や、意味から言葉を想起する「思い出しクロスワード」など、失語症の訓練に活用できそうな課題が収録されています。

 また、たくさんの文字から単語を探すシークワーズは、注意機能や視覚探索の訓練としても使えそうです。

 一方で、失語症の言語訓練に使いやすいと感じた課題は、個人的には全体の3分の1程度でした。

 そのため、失語症の訓練だけを目的に購入するというより、語想起課題のバリエーションを増やしたい場合や、認知機能訓練にも幅広く活用したい場合に検討したい一冊です。

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