失語症の訓練教材を探していると、「どの教材が自分に合っているのかわからない」「購入しても難しすぎたらどうしよう」と迷うこともあると思います。
今回は『失語症訓練のためのドリル集1 語想起(名詞)の改善をめざす』の内容を実際に確認してみました。
この本は、名詞の模写や選択課題から書称、説明文からの語想起まで、名詞の表出を中心に段階的に練習できるドリルです。
主に重度〜中等度の失語症の方に使いやすい内容となっています。
『失語症訓練のためのドリル集1』はどんな教材?
『失語症訓練のためのドリル集1』は、その名の通り「名詞の語想起」を中心に練習する教材です。
絵を見て正しい単語を選ぶ比較的取り組みやすい課題から、自分で名前を思い出して書く課題、説明文から単語を想起する課題などが収録されています。
使用されている単語は高頻度語〜中頻度語が多く、日常生活で比較的なじみのある言葉を使って練習できます。
収録されている主な課題
実際に中身を確認すると、次のような課題が収録されていました。
・名詞の模写
・絵を見て、3つの単語から正しいものを選ぶ
・絵を見て、6つの単語から正しいものを選ぶ
・未完成の漢字単語をヒントに、絵の名前を想起する
・絵を見て名前を書く(書称)
・動作と関連する名詞の絵を選び、その名前を書く
・動詞句に合う名詞の絵を選び、名前を想起する
・説明文から名詞を想起する
・名詞の穴埋め
・位置関係を表すことばの練習
選択課題では同じカテゴリーに属する単語が選択肢になっているものもあり、単純にまったく関係のない単語から正解を探すものではありません。
選択、模写、ヒントを利用した想起、書称といったように、さまざまな方法で名詞を練習できる構成になっています。
難易度は重度〜中等度向け
全体としては、重度〜中等度の失語症の方に使いやすい教材だと感じました。
絵を見て選択肢から答える課題や模写など、比較的取り組みやすい課題から始めることができます。
一方で、説明文から名詞を想起する課題など、より自発的な語想起を必要とする課題もあります。
そのため、その方の状態に合わせて課題を選びながら使用できます。
文字が大きく、書くスペースにも余裕がある
実際に本を見て良いと感じたのが、文字の大きさと書字スペースの広さです。
文字が大きく、書き込むスペースにも余裕があります。
失語症の訓練教材は内容だけでなく、「見やすいか」「実際に書き込みやすいか」も大切です。
その点では、比較的使いやすいレイアウトだと感じました。
ま た、それぞれの課題について、どのような方に適しているのか、実施方法、ヒントの出し方、実施上の留意点、応用訓練などの説明があります。
単に問題だけが掲載されているプリント集ではなく、どのように訓練を進めるかについても確認できるのは専門書ならではのメリットです。
気になったところ
一方で、購入前に知っておきたい点もあります。
まず、解答は付属していません。
課題内容によっては答えが分かりやすいものも多いですが、解答付きのドリルを希望する方は注意が必要です。
また、確認時の価格は3,960円で、ドリルとしてはやや高めです。
専門的な解説を含む教材ではありますが、「とにかくたくさん名詞の練習問題が欲しい」という目的だけで購入する場合には、価格が気になる方もいると思います。
無料プリントでも練習できる?
この本に収録されている課題の中には、当サイトを含め、インターネット上の無料プリントで補えるものもあります。
たとえば、
・絵を見て名前を選ぶ
・絵を見て名前を書く
・名詞を想起する
・穴埋め問題
といった比較的基本的な課題は、無料教材でも練習することができます。
そのため、まずは無料プリントを利用してみて、もっと体系的に練習したい場合に市販教材を検討するという方法でもよいと思います。
一方、無料プリントは作成者によって内容や難易度が異なり、訓練方法について詳しい説明がないものもあります。
『失語症訓練のためのドリル集1』では、課題の適応や手続き、ヒントの出し方、留意点、応用方法まで説明されています。
「無料プリントだけではどのように使えばいいのか不安」という場合には、専門的な説明のある市販教材を選ぶメリットがあります。
こんな方におすすめ
『失語症訓練のためのドリル集1』は、
・名詞がなかなか出てこない
・絵を見て名前を言ったり書いたりする練習をしたい
・重度〜中等度向けの比較的取り組みやすい教材を探している
・高頻度〜中頻度の身近な単語から練習したい
・無料プリントだけでは訓練方法がわからず不安
・専門的な説明のある教材を使いたい
といった方に向いていると思います。
まとめ
『失語症訓練のためのドリル集1』は、名詞の語想起を中心に、選択・模写・書称・ヒントを利用した想起など、さまざまな方法で練習できる教材です。
文字が大きく書字スペースにも余裕があり、重度〜中等度の方でも取り組みやすい課題が収録されています。
一方で、解答が付いていないことや、価格がやや高いことは購入前に確認しておきたいポイントです。
基本的な名詞の課題については無料プリントでも補えるため、まず無料教材を試してみるのも一つの方法です。
そのうえで、課題の選び方やヒントの出し方まで含めて体系的に取り組みたい方には、専門書として使いやすい一冊だと思います。
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