『失語症訓練のためのドリル集3』レビュー|動詞・形容詞の表出を練習

動詞

 失語症では、物の名前は比較的出てくるものの、「食べる」「歩く」といった動作を表す言葉がなかなか出てこないことがあります。

 『失語症訓練のためのドリル集3 動作・状態を表す語(動詞・形容詞・形容動詞)の改善をめざす』は、動詞を中心に、形容詞・形容動詞の表出も練習できる教材です。

 実際に内容を確認すると、単語を選んだり模写したりする課題から、動詞を想起して2語文を作る課題、文脈に合った言葉を想起する課題まで収録されています。

 主に重度〜中等度の失語症の方に使いやすい内容です。

『失語症訓練のためのドリル集3』はどんな教材?

 1・2巻では名詞を中心に扱いますが、3巻では動詞・形容詞・形容動詞を扱います。

 特に動詞の課題が多く、実際に確認したところ、全体のおよそ3/4が動詞、1/4が形容詞・形容動詞という構成でした。

 そのため、タイトルには動詞・形容詞・形容動詞の3種類が含まれていますが、特に動詞の表出を重点的に練習したい方に向いている一冊です。

収録されている主な課題

 次のような課題が収録されています。

・名詞絵や動作絵を見て、動作を表す言葉を選ぶ
・絵を見て、動作を表す言葉を模写する
・動作を表す言葉を選択して模写する
・動詞を想起して2語文を作る
・文脈に合う動詞を想起する
・様子を表す言葉を選択して模写する
・文脈に適した形容詞・形容動詞を選択する
・文脈に適した形容詞・形容動詞を想起する

 単純に動詞の名前を答えるだけではなく、選択・模写から自発的な想起、さらに文の中で使用するところまで練習できるのが特徴です。

難易度は重度〜中等度向け

 主な対象は重度〜中等度の失語症の方です。

 絵を見て正しい言葉を選ぶ課題や模写など、比較的取り組みやすい課題から始めることができます。

 そこから、動詞を自分で想起する課題や、想起した動詞を使って2語文を作る課題へと進んでいきます。

 さらに、文脈に合った動詞・形容詞などを考える課題もあります。

 そのため、単語レベルの表出練習だけでなく、徐々に文レベルの表出へ進んでいきたい場合にも使いやすい構成です。

動詞の練習が中心

 この本の大きな特徴は、やはり動詞の課題が多いことです。

 「絵を見て動詞を選ぶ」「模写する」といった比較的取り組みやすい課題だけでなく、最終的には自分で動詞を想起し、文の中で使うところまで扱います。

 名詞は出てくるけれど動詞の表出が難しい方や、単語だけの表出から少しずつ文の表出へつなげていきたい方に向いていると思います。

 一方、形容詞・形容動詞も収録されていますが、全体のおよそ1/4程度です。

 形容詞・形容動詞だけをたくさん練習したい場合には、問題数が少なく感じる可能性があります。

単語から文の表出へ進める

 3巻の中でも特に特徴的なのが、動詞を想起して2語文を作る課題です。

 動詞の呼称だけで終わるのではなく、想起した言葉を使って文を作る段階へ進むことができます。

 たとえば、動作を表す言葉そのものは出るようになってきたものの、それを文章として組み立てることが難しい場合などに、次のステップとして利用できます。

 より本格的に文の構成や助詞などを練習したい場合には、『失語症訓練のためのドリル集5 文構成の改善をめざす』へ進む方法もあります。

課題の使い方まで説明されている

 このシリーズでは、それぞれの課題について、 

・どのような方に適しているか
・課題の進め方
・ヒントの出し方
・実施上の留意点
・応用した訓練方法

などが記載されています。

 文字も大きく、書字スペースにも余裕があるため、実際に書き込みながら使用しやすいレイアウトです。

 単に問題だけが並んでいるのではなく、どのように訓練として活用するのかまで確認できる点は、このシリーズ共通のメリットです。

 なお、解答は付いていません。

無料プリントでも練習できる?

 動詞の選択、模写、動作絵からの動詞想起、形容詞の課題などについては、無料プリントでも補えるものがあります。

 当サイトでも、動詞や形容詞に関する無料プリントを公開しています。

 そのため、まずは無料プリントで取り組んでみて、さらにまとまった問題数が必要な場合や、段階的に訓練を進めたい場合に市販教材を検討する方法もあります。

 一方、3巻では選択・模写から語想起、さらに2語文や文脈を利用した課題まで一冊の中で段階的に取り組めるというメリットがあります。

 また、課題の適応やヒントの出し方などについても説明されているため、無料プリントだけで訓練を進めることに不安がある場合には、市販教材を利用するメリットがあります。

こんな方におすすめ

 『失語症訓練のためのドリル集3』は、

・動詞がなかなか出てこない
・動作絵を使って動詞の表出を練習したい
・動詞の選択や模写など、取り組みやすい課題から始めたい
・単語レベルから2語文へ進みたい
・文脈に合った動詞を考える練習をしたい
・形容詞や形容動詞の表出もあわせて練習したい

といった方におすすめです。

 特に、動詞の表出が苦手な方や、単語レベルから文章作成へ少しずつステップアップしていきたい方に使いやすい教材だと思います。

まとめ

 『失語症訓練のためのドリル集3』は、動詞を中心に、形容詞・形容動詞の表出を練習できる教材です。

 全体のおよそ3/4が動詞、1/4が形容詞・形容動詞となっており、特に動詞を重点的に練習したい方に向いています。

 選択や模写といった比較的取り組みやすい課題から、自発的な語想起、2語文の作成、文脈に合った言葉の想起まで段階的に進むことができます。

 基本的な課題には無料プリントで補えるものもありますが、動詞の表出から文レベルへのステップアップまで、まとまった形で練習したい方には使いやすい一冊だと思います。

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動作絵と動詞の線つなぎ

動作説明 よく使う動詞

動詞の穴埋め 選択肢付き

動詞の穴埋め

反対語の穴埋め 動詞

反対語の穴埋め 形容詞

形容詞・形容動詞の穴埋め

練習プリント一覧

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